となりの一条三兄弟!



「聖!聞こえる?落ち着いて!……だ、大丈夫だから。今お水と氷持ってくるから待って……んっ」

私の喋りを拒むように、聖の唇で声を塞がれた。
 
ドクン……ドクンと心臓がこんな時に限ってやけに静かだ。

ゆっくりと離れた聖の唇。まだ感触と熱さが残ってる。


私……今、聖と……。

彼の手が私の頬に触れた。もう逃げられないと思った。

聖がまた私にキスをしてきた。

離れて、触れて、離れて、触れて。そして次第に角度を変えて、長く深くなっていく。
 

「……んっ……ふあっ」

呼吸が苦しくなると再び離れて、聖の青紫色の瞳に溶けそうな私の顔が映っている。

もっと乱暴だったらビンタをひとつでもできるのに……それができないほど優しいキスだ。

このまま、ずっと聖とくっついていたい。

彼が私のことを求めてくれるのは嬉しいけど、おそらくこれは無意識だ。

これが同じ気持ちでした行為なら、どんなに幸せだろうかと考えた。


「茉莉」

耳元で聖が低い声で囁く。


ズルい……。いつも〝お前〟って呼ぶくせに、こんな時に名前で呼んでくれるなんて……。

聖の手がまた私の肌に触れて、唇が重なる寸前……。パタンッとスイッチが切れたように、聖は私の胸に倒れた。

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