となりの一条三兄弟!
……やっぱり昨日のことが忘れられてる。
というか、なかったことになってる……。
あの時の聖は、いつもの聖じゃなかった。
狼のような瞳で、私のことを本能で求めるように触り、何度もキスをしてきた。
……私のファーストキスだった。
まだ唇にその感触が残っている。
なのに、なのに……。
「なんだよ?」
それなのに本人はなにひとつ覚えてないって、そんなのありですか?
「べつになんでもない!」
私はふて腐れるように、そっぽを向いた。
聖とどんな顔して会えばいいんだろうって、色んなことをシミュレーションしていた私があまりにバカみたいだ。
「茉莉、おはよう」
学校に着いて教室に入るとすぐに景ちゃんが席まで来てくれた。なんだか景ちゃんを見るとホッとする。
「あれ?なんか泣きそうな顔?」
「え?ぜ、全然そんなことないよっ!」
気持ちの切り替えができるか分からないけど切り替えよう。
そもそも聖に悪気はないし、元はといえば私が勝手に部屋に入り込んだわけだし……。