となりの一条三兄弟!


普段はクールな感じなのに、まるで慣れてるみたいに人のことを触っておいて。

しかもキスまで……。

まだあの感覚が消えてないのに、本人がこの調子だから本当に夢だったんじゃないかって、錯覚しそうになる。

しかもあの時の私は、完全に聖のこと受け入れようとしてた。

イヤじゃなかった。怖さもなかった。

もしも、聖が途中で眠らなければどうなっていたんだろうか。

でもこんなことを考えても仕方ない。早くお昼ご飯を食べるために、さっさと資料を教材室へと戻した。


「なんかたまには学食が食いてーな」

教室に戻る廊下。女子から熱い視線を送られていても、聖は興味ないって顔で、今は昼食のことで頭がいっぱいのようだった。


「昴さんのお弁当のほうが美味しいじゃん」

「毎日は飽きる」

「もう、贅沢だなあ」

そんな会話をしながら歩いていると……。


「ずいぶんと呑気だな。校則違反で罰せられたいのか?」

背後から高圧的な声が飛んできた。振り向かなくても、自然と顔が強張ってしまう。


「ああ、お前はたしか、鼻が鈍い一条三兄弟の次男だな」

「は?」

霧島くんはわざと聖を煽るような言い方をしていた。
 
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