となりの一条三兄弟!


「そういえば俺はお前の秘密を知ってるぞ」

「……秘密?」

「一条三兄弟については色々と下調べ済みでね。調べている中で次男のお前が一番興味深かったよ」

わざと焦らすような話し方。こっちまでイライラしてくる。


「俺は秘密なんて……」

「たしか、三兄弟の母親はお前のせいで死んだらしいな」

ドクンッとイヤな音がしたのは私なのか、それとも聖なのかは分からない。


今、この人なんて言った……?

お母さんが聖のせいで死んだ?

確認するように聖を見ると、今まで見せたことのないような顔をしていた。

本当はどこかで気づいていた。

聖が狼にならない理由。そしてそれを閉じ込め続けているワケ。

だけどそれを聞きたいとは思わなかった。それぐらい聖にとって大きなものだと知っていたから。

それなのに、霧島くんは平気で聖の触れられたくない部分に刃を向けようとしている。


「なあ、そうだろ?母親が自分を守るために死んで。それから狼になることが怖くなったんだろ?」

「………」

「だからお前は……」

「……やめてっ!!」

霧島くんの声を遮ったのは私だった。

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