となりの一条三兄弟!
沸々と私の中でなにかが弾けている。
どんな理由があっても、どんな過去があっても、それをこんな形で口にしてほしくない。
こんな人を見下すような言い方をするヤツだけには、聖のことを語られたくない。
私はいつの間にか、聖よりも前に出ていた。そしてそのまま霧島くんを睨み付ける。
「そんなことを影でコソコソと探って気持ち悪い。人が嫌がることばっかりして、なにが楽しいの?」
こんな感情は初めてかもしれない。
本当に本当に許せない。
「楽しいよ。自分以外は下等な生き物だからな」
「だったらアンタのほうがよっぽど下等なんじゃない?」
「なんだと?」
こんな睨みで怯んだりしない。
「どんな目的で私たちに突っかかってくるのか知らないけど、楽しみたいだけなら他を当たって。二度と私たちに近づかないで」
そう強い口調で言ったあと、私は聖の手を掴んで、「行こう」と廊下を歩き去った。