となりの一条三兄弟!
それから学校に着いて、いつもどおりの授業がはじまった。
まだ校則は厳しいままだけど、最初の頃よりはみんな落ち着きを取り戻していて、騒ぎ立てる人もいなくなった。
言ってもどうにもならないってことと、この状況に慣れてきてしまったんだと思う。
私は黒板の文字をノートに写しながら、窓の外に目を向けた。
電線に止まるカラスはやっぱりいつも校舎のほうを向いている。
……アレだけはなんとかならないかな。野生じゃないと知っているだけに居心地が悪い。
「茉莉ー?次、教室移動だけど行ける?」
4限目の始業のチャイムが鳴る5分前。すでに景ちゃんは廊下で私のことを待っていた。
「ご、ごめん!なんか教科書が見つからなくて」
さっきから机の中を確認しているけど、どこにもない。
「大丈夫?私先生に呼ばれてるんだけど、先に向かっても平気?」
「全然大丈夫!むしろ行って!すぐに追いかけるから」
「オッケー!」
景ちゃんの足音が遠ざかる中で、私は教科書を探し続けていた。
この前使ったんだけどな……あ、もしかしてロッカーかも!
確認しに行くとやっぱり教科書はロッカーの中にあった。ホッとしたのも束の間に、背後から気持ち悪い空気を感じて振り返る。
「……なにか用?」
そこにいたのは霧島禄だった。相変わらず足音や気配もなしに、突然背後に現れる。