となりの一条三兄弟!


「お前、俺のことを下等だと言ったな」

「そ、それがなに?」

あの時はムカついて強い言葉を使ってしまったけど、間違ったことは言ってない。

まさか根に持っているとか?

私になにかするつもり……?

ゴクリと息を飲んだあとに、なぜか霧島くんはフッと笑った。


「俺に歯向かってきた女は初めてだ。罰としてこの〝体質〟を変える手助けをしてもらう」

「ど、どういう意味……んっ!」

すると突然、視界が暗くなった。気づけば乱暴にキスをされていた。


「……んんっ……!!」

霧島くんは私の髪の毛ごと、後頭部を手で押さえつけている。

バタバタと地団駄を踏む音が教室に響く。どんなに抵抗しても、霧島くんの唇は私から離れない。


イヤだ。なんで、こんなヤツと……っ。

涙目になりながらも、次第に私の抵抗は弱くなっていく。

敵わないと、諦めたからじゃない。キスをされながら、視界に映っている光景に目を奪われていた。


空中に舞う黒い羽と、漆黒の和装。

私の後頭部を掴む霧島くんの爪がまるで鳥のような形をしていて、それが皮膚に食い込んで痛い。

大声を出したいのに声が出ない。 

霧島くんの背中から生えている大きな翼。

さらには右目は深紅色。左目は青色という、オッドアイの瞳。 

それはまさに八咫烏という名にふさわしい姿。

不覚にも、そのすべてが美しいと思ってしまった。
 
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