となりの一条三兄弟!
「なにしてんの?」
「ひぃぃ……!」
誰もいない廊下で声をかけられて、心臓が縮む。
「えーなにその反応。俺とまりりんの仲なのに」
「……よかった、晶くんか」
私はホッと胸を撫で下ろした。
晶くんは服装のことで先生に呼ばれていたようで、職員室からの帰りだと言っていた。
なんとなく脳裏に黒い映像ばかりが焼き付いているから、今は晶くんの派手な格好に救われてる。
「髪色も元に戻せってうるさくてさあ。生まれつき金髪だって言ったら嘘つくなって言われちゃったよ」
「はは、その嘘はバレるよ」
晶くんと話してると心が和むな……。
「それでまりりんはなにしてたの?」
「私はこのプリントを視聴覚室に……」
そう言ったあと、晶くんの後方に人影が見えた。
それはゆっくりと近づいてきて、再びイヤな汗が額に滲む。私はとっさに晶くんの腕を掴んでいた。
「まりりん?」
不思議そうな顔をしてる晶くんは、まだ後ろの存在に気づいていない。
「約束は守ってもらうぞ」
霧島くんのその声に、ようやく晶くんが振り返った。
「だれ?」
まだ霧島くんのことを知らない晶くんは、キョトンとした顔をしていた。
「まったく生徒会長の顔も知らないなんて、どいつもこいつも低脳で困る」
「生徒会長?まさかお前が霧島?」
「年下のくせに言葉使いがなってないな。その服装も含めてお前には罰を与えてやるよ」
そう言いながらも、霧島くんの視線は晶くんではなく私に向けられていた。
またなにかされるんじゃないかって身構えてしまい、晶くんを掴む手が自然と強くなっていた。