となりの一条三兄弟!
「まりりん?どうしたの?まさか、こいつになにかされたの?」
晶くんが心配そうな顔をしている。
キスされた、なんて……絶対に言いたくない。
「佐崎茉莉。またふたりで話がある。こっちに来い」
「………」
「さあ、早く」
霧島くんの手が私へと伸びてくる。怖くてギュッと目を瞑ると、晶くんが私のことを自分の背中で隠してくれた。
「気安くまりりんに触ろうとしないでくれない?」
いつも可愛い晶くんの顔が険しくなる。すると霧島くんがあざ笑うかように口元をゆるませた。
「俺の邪魔をするのか?透明人間」
「………」
「そんな役にも立たない力なんてゴミと一緒だな」
また霧島くんの煽るような言い方だ。本当に彼は人に喧嘩を売る天才だと思う。
いつもニコニコしている晶くんだけど、今まで見たことがないくらい怖い顔をしていた。
「先祖の血を悪く言うのはやめろ」
ご先祖さまの写真をたくさん見せてくれた時、個性的な人も多かったけど、そのぶん歴史も感じた。
新しい命が生まれるたびに、血も引き継がれていく。
ご先祖さまがいるからこそ、今の自分たちがある。それを分かっているからこそ、晶くんは怒っているのだ。