となりの一条三兄弟!


「だったら透明になるだけのその力でなにができる?」

こんな風にトゲがある言い方ばかりしてくるけど、いまだに霧島くんの目的は分からないまま。


「なんでもできるよ。少なくともチェリーボーイの生徒会長よりはね」

「……俺をバカにするなよ」

「バカにしてないよ。ただ女の子の扱い方も知らないくせに、まりりんに声をかけるなってことだよ」

廊下が一瞬にして静まり返る。

……ゴクリと息を飲んだ次の瞬間、晶くんの姿が見えなくなった。

透明になった晶くんのことは、私でも目で追うことはできない。

足音も気配も感じない。

だけど晶くんはいる。しかもすぐ近くに。

と、その時――。

ずっと黙っていた霧島くんがくるりと後ろを振り返った。そして、そのまま〝なにか〟を力強く掴む。


「ぐっ……」

晶くんの苦しそうな声とともに、透明化が解かれた。霧島くんは晶くんの首を掴んでいた。

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