となりの一条三兄弟!


「あ、そんなことより佐崎」

霧島くんが思い出したように、私の名前を呼んだ。 


「え、な、なに?」

口に入れようとした卵焼きがピタリと止まる。そして……。


「また俺とキスしろ」


「……なっ!」

思わず、大きな声で反応してしまった。


な、なにをいきなり言い出すの!?

霧島くんの言葉に、三人が怖いぐらいにピリッとしている。


「こういうのは徐々に体質を変えていったほうがいいらしい。協力すると約束しただろ」

「約束なんてしてないし!それにあのキスは霧島くんが一方的に……」

言いかけた唇を止める。マズイと思った時にはすでに遅くて、晶くんと昴さんがじりじりと私に詰め寄ってきていた。


「ちょっと、まりりん、どういうこと?」

「茉莉ちゃんと霧島がキスって……」

あーあ、どうしよう。

結局その事実は三人には言えなかったし、私的には忘れたいことだったというか……できれば一生隠し続けておきたかった。


「ち、違うの!あれは事故?ではないけど強制的に、あっという間に……」

「ふん、お前らはまだしてないのか。ガキだな」

せっかくふたりを落ち着かせようと思ってるのに、霧島くんはわざと煽るような言い方をしていた。


「は?無理やりしたのなんてカウントされないし!」

「茉莉ちゃんの気持ちを考えないでするなんて最低だな」

「……なんだと?」

三人が口論してる内に、私はその場から逃げた。


< 190 / 206 >

この作品をシェア

pagetop