となりの一条三兄弟!


「え、だ、だって聖は気を失ってそのまま寝ちゃったし。風邪のせいで聖はあんなことをして……だからあれはなかったことになってるというか、聖は無意識でやっていたとばかり……」

こんな展開になると思ってなかったから、日本語がたどたどしくなっていた。 


「たしかにあの時、血がざわついて狼になりかけてたけど、なにをしてるとか誰にしてるとかはちゃんと普通に分かってた」

まさかの事実に、開いた口が塞がらない。 


考えないようにしてたけど、あの出来事を思い出すだけでまた体が熱くなってくる。  

彼の息づかいや重みや声。聖からされたキスが脳裏に浮かんできて、クラクラとしていた。


「つまり……その、確信犯ってこと?」

「さあな」

聖は隠すように私の前を歩きはじめた。
 

……ああ、どうしよう。

聖のことを追いかけながらも、彼の耳が赤くなっていることに気づいた。

顔を見られないように、わざと早く歩いてる?

べつに自惚れてないし、勘違いもしてない。だけどもし聖と同じ気持ちだったら……。
 

「こ、聖っ!」

校舎に反響するほどの声で呼び止めた。


こうなったら当たって砕けてもいい……!

この胸の高鳴りは、もう止められない。


「わ、私が聖のこと好きだって気づいてる?」

……言ってしまった。

しかも人生初の告白で、なぜか疑問形。すると聖はくるりと顔をこちらに向けた。

ドクンドクンと心臓が速い。


「じゃあ、俺が――」


おうむ返しのように、聖が言葉を言いかけると……。
 
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