となりの一条三兄弟!
「今日は悪かったな」
そこへ、一条聖が冷たい飲み物を持ってきてくれた。
なんだか学校だと怖いイメージがあったけど、今はそうでもない。
そういえば私がパニックになってる時「立てる?」と手を差し伸べてくれたっけ。
あれでちょっとだけ冷静になれた。
昴さんと晶くんの人じゃない姿を見てしまったからもう信じざるおえないけど、私はまだこの人の本当の姿を見ていない。
だからまだ、ここだけは現実味がない。
みんなが説明してくれてる時も彼だけはなにも言わなかったし、その口から自分のことを語ることもなかったから。
空には吸い込まれそうなぐらい大きな丸い月が浮いている。
記憶が確かなら狼は満月の夜に変身すると聞いたことがある。
だからだろうか。
月明かりに照らされる横顔がとても綺麗で美しくて、気づけば視線を長い時間止めてしまっていた。
「あのさ」
「は、はい!」
突然こっちを向くから不自然に顔を背ける。
見とれてたなんて恥ずかしい……。