となりの一条三兄弟!
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「てめえ調子に乗んなって言っただろ」
「痛っ……!」
そして学校に向かう通学路。すぐに聖が晶くんのことを叱ってくれた。
思いきり拳骨をされてしまった晶くんは涙目になっている。
「茉莉ちゃんごめんね。すぐに気づいたんだけど、インターホンを押して晶を呼びに行くわけにもいかないしさ」
昴さんが代わりに謝ってくれた。
「……はは、大丈夫ですよ!」
私は大丈夫なんだけど、お父さんやお母さんにバレないか何度もヒヤヒヤした。
本当のことを知ったら絶対ふたりとも失神しちゃうと思う。あんなにスリリングな朝は初めてだったので、なんだかどっと疲れてしまった。
「……今度、晶が部屋に入ってきたら俺に言え」
私の様子を気にするように、聖は並んで歩いてくれていた。
「ベランダから声ぐらい出せば普通に聞こえるから」
心配……してくれてるのかな?
「でも晶くんが透明になってたら見えないし……」
「平気だ。俺は匂いで分かるから」
不器用だけど聖が優しい人だってことはもう知っている。その心遣いがちょっと嬉しくなって、学校に向かう足取りが軽かった。