となりの一条三兄弟!


***



「てめえ調子に乗んなって言っただろ」

「痛っ……!」

そして学校に向かう通学路。すぐに聖が晶くんのことを叱ってくれた。

思いきり拳骨をされてしまった晶くんは涙目になっている。


「茉莉ちゃんごめんね。すぐに気づいたんだけど、インターホンを押して晶を呼びに行くわけにもいかないしさ」

昴さんが代わりに謝ってくれた。


「……はは、大丈夫ですよ!」

私は大丈夫なんだけど、お父さんやお母さんにバレないか何度もヒヤヒヤした。

本当のことを知ったら絶対ふたりとも失神しちゃうと思う。あんなにスリリングな朝は初めてだったので、なんだかどっと疲れてしまった。


「……今度、晶が部屋に入ってきたら俺に言え」

私の様子を気にするように、聖は並んで歩いてくれていた。


「ベランダから声ぐらい出せば普通に聞こえるから」

心配……してくれてるのかな?


「でも晶くんが透明になってたら見えないし……」

「平気だ。俺は匂いで分かるから」

不器用だけど聖が優しい人だってことはもう知っている。その心遣いがちょっと嬉しくなって、学校に向かう足取りが軽かった。

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