となりの一条三兄弟!
「ああ、ごめんね。血を見るとつい……」
ハッと我に返った昴さんが笑顔が戻った。
……血?
色んな情報を頭で繋ぎ合わせてみた。そういえば吸血鬼は血を吸う生き物だったっけ。
理解はしてるけど、学校だとついその事実を忘れそうになってしまう。
「ごめんね。これでも半分吸血鬼の遺伝子が流れてるから抗えない時もあるんだよ」
昴さんはそう言って、押し倒した私の体をゆっくりと起き上がらせてくれた。
「実はそれなりに弱点があってね。直射日光は苦手で頭痛がしてくるんだ」
ああ、だから保健室に……!
そっか。吸血鬼にも色々と不便なことがあるのか。
私には分からない世界だけど、晶くんも聖にもそういう弱点みたいなのがあったりするのかな?
「私もすみません。なにも知らずに無神経に血を見せたりして……」
昴さんは日光が苦手で、血を見ると豹変することをちゃんと覚えておこう。
「いや、茉莉ちゃんは悪くないよ。俺は制御できるほうだし感覚的には三兄弟の中で一番人間に近いから吸血鬼といっても血は吸ったことがないんだ」
「そうなんですか?」
ちょっと安心した。血を吸うってやっぱり怖いイメージしかないし、優しい昴さんとはどうしても重ならないから。