となりの一条三兄弟!
それから学校に着くと、教室ではいつものようにクラスメイトが騒いでいた。
女子たちはすぐに聖に向かって「おはよー」と甘い声を出してたけど、彼は迷惑そうな顔をして、相変わらず無視をしていた。
本当に冷たいというか……塩対応だなあ。
「……はあ。茉莉おはよう」
と、そこへ、景ちゃんがため息をつきながら登校してきた。
いつも背筋が伸びている景ちゃんが、少しだけ猫背になっていて、声にも覇気がない。
「おはよう……って、どうしたの?」
「だってさ、来週から風紀強化週間じゃん」
それは生徒会が中心となって取り締まりが厳しくなる週間のことだ。
当然、校則はあるけれど、普段の生徒たちは注意されても大半が聞き流しているし、晶くんみたいに制服をがっつりとアレンジしてる人も少なくない。
「マジで憂鬱だよ。化粧はできないしスマホも禁止だし、なにより生徒会が鬼すぎて……」
「……あはは、たしかにね」
この風紀問題に関わらず、うちの生徒会は先生よりも莫大な権力を持っていると言われている。
とくに生徒会長はかなり風紀に厳しくて、校内で男女交際が見つかると謹慎処分にされると言われているけれど、私は恋愛に無縁だからそこら辺は詳しくは知らない。
「……来週、ズル休みしちゃおうかな」
「えー景ちゃんがいなかったら私が寂しいよ」
私は景ちゃんが大好きだから、たまに景ちゃんが男の子だったら絶対に好きになってるかも、なんて思ったりもする。
そんなことを考えてる時点で、恋愛経験がないってバレバレなんだけど。