となりの一条三兄弟!



「まりりーん!」

4限目が終わって、音楽室を出たところで、晶くんに声をかけられた。


周りにいる先輩たちに「じゃあね」と手を振って、足早に私のほうへと駆け寄ってくる。


「ポニーテールのまりりんの後ろ姿なんて普段は見ないから、声をかけるまでに3秒遅れちゃったよ」

晶くんは人懐っこくて本当に子犬みたい。

髪の毛を右耳にかけてることも可愛いし、もし世界に可愛い男子コンテストがあったら間違いなく1位になってると思う。


「まりりんの友達?」

晶くんが隣の景ちゃんに気づいた。


「うん。飯田景子ちゃん。景ちゃんは同じクラスで……」

「景ちゃん!景ちゃんって呼んでいい?」

一応年上なのに、この距離の詰め方。甘えん坊の末っ子晶くん特有の技だと思う。


「うん。いいよー。私は晶くんでいいよね?ってかもうそうやって呼んでるけど」

「いいよ!なんなら景ちゃんが可愛いあだ名を付けてくれてもいいし」
 
初対面のはずなのに、ふたりはすでに打ち解けている。

コミュニケーション能力が高い人同士だと、数秒あれば友達になれてしまうんだと感心していた。


「あ!そうだ!これからお昼一緒に食べない?もちろん景ちゃんも一緒に」

晶くんからの突然の誘い。

「あー、私5限目の授業の課題が終わってなくてお昼食べながらやろうとしてたからパスかな」

「そっかあ。まりりんは?」

「私は別に大丈夫だけど」

景ちゃんも「私のことは気にしないで行ってきなよ」と言ってくれて、私は晶くんとお昼を食べることになった。

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