となりの一条三兄弟!


「茉莉、帰り大丈夫?付き添おうか?」

学校が終わって放課後。景ちゃんは逆方向なのに私のことを心配してくれた。


「平気平気!景ちゃんこそ私を送っていったら帰るのが夜になっちゃうよ。私の家より遠いんだからさ」

「うーん、でも」

「本当に大丈夫だから!」

そう言って、笑顔で景ちゃんと別れたものの、足は普通にまだ痛い。

……ゆっくり帰ろう。予定があるわけじゃないし。

涙目になりながら足を引きずって歩き進めていると……。


「のろま」

背後から声が聞こえた。 


頑張って歩いてる人にそれはないだろうとムッとしながらも、話しかけてくれたことに昨日から続いていた気まずさが消えていく。


「お前って本当によく怪我するよな。なんなの?趣味なの?特技なの?」

やっぱり口から出てくる言葉は意地悪ばかりで、私は聖のことを不満そうな顔で見た。


「うるさいな。聖には関係ないでしょ」

これは昨日の仕返しの言葉。


「うん。関係ない。じゃあね」

それなのに平気な顔をして、彼はスタスタと私のことを追い抜いていく。


狼になるのが怖いなんて、そんな気持ちを抱えているくせに、自分は強いふりをして他者を拒絶する。

もう、本当になんなの……。

足は痛いし、もう歩きたくないし。なにより聖が歩き去ってしまったことがなんだか悲しい。

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