となりの一条三兄弟!


結局、私は声をかけることができなかった。

しばらくして、晶くんがお風呂から出てくると、リビングはまた明るい空気になった。


「俺、まりりんと本当はお風呂入りたかったよ。そしたら背中洗いごっこができたのにさー」

濡れた髪のまま、晶くんがまた甘えてくる。

でもあまりその言葉は耳に入ってこなくて、ずっと私は聖のことを考えていた。


前に昴さんが言ってた。

聖は三兄弟の中で一番人間じゃない血が濃いから、ちょっとしたことや感情の起伏で狼になりかねないって。

狼になることが怖い聖。

そうなることをずっと避け続けていて、それは10年という長い月日の間。

つまり聖は10年間、人さえも避け続けていたということだ。だからいつも誰とも群れずに学校でもひとりきり。

寂しいとかじゃない。

そうすることで聖は自分を守っていたんだ。

それなのに私は友達を作ったほうがいいなんて無神経なことを言って……。あの時、聖が怒ったのは当然だ。

私はなんにも分かっていなかった。

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