となりの一条三兄弟!
「着替えとかヤバいじゃん……」
私はぽつりと独り言をもらした。
「だからカーテンは必ず閉めろって言っただろ」
「み、見てないよね?」
「見てねーよ。見えたのは俺の責任じゃない」
「うう……」
ああ、絶対に見えたのは最初の1回だけじゃなさそう。
しかも着替えに限らずお風呂上がりのヨガとか、鼻唄とかもバレていそうで、ますます泣きたいよ……。
「で、それは?」
私が落ち込んでる中、聖が写真を指さす。
「あ、ご、ごめん!風で下に落ちちゃって……。あと勝手に見ちゃった。それもごめんなさい」
間違いとはいえ、無断で部屋に入って写真を見るなんて図々しい。
「見たんじゃなくて、見えたんだろ。だったら別にいい」
聖は不器用な言葉で私を許してくれて、写真立てをそっと元の位置に戻した。
それは丁度ベッドから見える場所。横になって寂しい時に見つめ合えるような、そんな位置。
私はなにも聞かなかった。
聞けなかったんじゃなくて、まだ聞いてはいけないと思った。
聖のことはまだ知らないことばかりだけど、人づてじゃなく、盗み聞きでもなく。
いつか聖の口から全てを知りたい。
その遠くを見つめる瞳も、ひとりで抱えている過去も、受け止めてあげられるぐらい、私も強い人になりたいと思った。