となりの一条三兄弟!
……なんか嵐みたいな人だったな。
急に静かになった気がして、少し寂しくも感じる。
「お前もぼーっとしてるから、あんなことされんだよ」
聖が匠さんにキスされた頬を、呆れた視線で見ていた。
「だ、だって……」
あんな不意討ちは避けようがない。しかも昴さんたちがもういいってぐらい拭いてくれたから、今はちょっとヒリヒリしてるぐらいだ。
昴さんは今日もお弁当を作ってくれた。
私の大好きなナポリタンが入っているらしいから、午前の授業はこれで頑張れそう。
そんなウキウキした気分とは裏腹に、私は眠そうにあくびをしてる聖の顔をチラッと確認する。
……そういえば私、聖の部屋に入ったんだよね。
今さらだけど、あの心地いい匂いはきっと聖の匂いだ。
多分もう二度と入ることはないかもしれないし、もっとよく堪能しておけば良かったかな、なんて思ったりしてる私は……匠さんに毒されてしまったのかもしれない。
「なに見てんだよ」
不機嫌な顔をされて、私はバッ!と忍者のように顔を高速回転で逸らした。
優しい時は優しいのに、やっぱり聖はツンの要素が強い。