となりの一条三兄弟!
校内の騒がしさは半減していた。
生徒会があちらこちらで目を光らせているし、化粧もダメ、スマホもダメだから女子たちが本当に静かだった。
それの影響なのか、靴箱に嫌がらせの紙は入っていない。
それどころか聖たちと校門を抜けても、あまり鋭い視線や言葉は向けられなかった気がする。
「ああ、マジでムリ。スッピンとか死んじゃう……」
教室では景ちゃんが早くもブルーモードだった。
「素顔の景ちゃんも美人だよ?」
これはお世辞抜きで。
「いや、スッピンなんて、外を素っ裸で歩くのと一緒だから」
「そ、そんなに?」
「茉莉は元々ナチュラルメイクで変わらないから羨ましいよ。私なんてどんだけ塗りまくってると思ってんの」
景ちゃんはそう言いながら、テンションが下がっていた。
まあ、風紀を強化してるのは今週だけだし、そんなに落ち込まないでと励ましていると……。
「これから新しい生徒手帳を配る。新たに追加された〝生徒心得〟の欄は各自よく目を通すように」
朝のホームルームで担任から配られた新しい赤い生徒手帳。生徒心得という名の校則の部分をよく見てみると……。
今までの校則に加えて携帯電話禁止、化粧禁止の文字。しかもそれだけじゃない。
男女交際についての厳しい取り締まりも追加されていた。