となりの一条三兄弟!
「大丈夫。晶くんが透明になっても私が必ず見つけるから!」
そう言って晶くんの頭を撫でた。すると突然その手を掴まれてグイッ身体を引き寄せられた。
「ああ、本当に困るなあ。抑えがきかなくなったらどうするの?」
晶くんが私の耳元で囁く。
いつもならここで無理やりにでも引き剥がすのに、あまりに強い力で抱きしめてくるから、どうすることもできない。
「あ、晶くんちょっと……」
けっこう苦しいし、痛いぐらいにギュッとしてくる。するとゆっくり体が離れて、晶くんの唇が私のおでこに触れた。
「まりりん、ありがとね」
軽い口づけをされあと、また可愛い顔で笑う。
私はおでこを押さえながら、顔が燃えそうなほど熱かった。
でも、晶くんがいつもの可愛い晶くんに戻ってくれたからホッとしていた。
「そろそろ授業のチャイムが鳴っちゃうから戻ろう」
「そうだね」
私たちは同時に立ち上がった。
廊下をキョロキョロと見渡して警戒する。どうやら生徒会の人たちはいないみたいだ。私が誘導するように晶くんのことを廊下に出した。
「でもさっきは、ちょっと危なかったな」
隣で晶くんが追われてるとは思えないほどの能天気な声を出していた。
「危なかったって?」
「茉莉ちゃんのことね、あのまま押し倒して、また触っちゃおうかと思った」
「なっ……!」
「一瞬だけ、嫌われてもいいからしちゃおうかと思ったよ」
晶くんはあはは、と笑っている。
なにをしようとしてたかは想像しないことにして、とりあえず晶くんが生徒会に捕まらないことだけを今は祈ろう。