となりの一条三兄弟!
「先輩っ、大丈夫ですか?」
女子たちが涙目になりながら、昴さんに駆け寄っていた。
「ハア……、うん。大丈夫、大丈夫!」
昴さんは強がっているけど、全然大丈夫そうじゃない。2㎞という距離を走らされたこともそうだけど私が心配なのは……。
「日常に必要のない会話は控えてください」
そこへまた監視するように生徒会役員の指示が飛んだ。
「は?心配するのもダメなの?」
「っていうかただ話してただけで罰則とか頭オカシイんじゃないの?こんなことが許されていいわけがない!」
縛りつける校則に女子は爆発寸前のようだ。
「会長が決めたことに私たちも逆らうことができません。校則を守れないというのなら貴女たちも罰則の対象になります。そしたら庇われたことも無駄になりますが、どうしますか?」
役員の言葉に女子たちが前に出たけれど、それを止めたのは昴さんだった。
「俺は本当に大丈夫だから。きみたちは早く教室に戻りな」
自分たちのために走ってくれた昴さんに迷惑はかけられないと、後輩たちは頭を下げて立ち去っていった。