となりの一条三兄弟!
役員は私たちが帰るのも待っていて、昴さんに手を貸すこともできない。
「向こうでも男子と女子が内緒で一緒にいるところを見たんですけど、それは取り締まらなくていいんですか?」
すると景ちゃんが中庭のほうを指さした。
「分かりづらいところだから私が案内しますよ」と言って役員の人を連れていく。
そのまま目で私に合図をしてくれて、景ちゃんの機転のおかげて私は昴さんに触ることができた。
私は昴さんを連れて、人気のない校舎裏へと向かった。
外であることは変わらないけど、木陰になっているのでグラウンドよりは涼しく感じる。
「昴さん、本当は大丈夫じゃないですよね?」
少し段差になってるところに、昴さんを座らせた。
走ったことより昴さんにとって厄介なのは、燦々と照りつけている太陽だ。
日光は昴さんにとって天敵のはずなのに、あんなに直接浴びてしまったら、なにかしらの体調不調が起きていても不思議じゃない。
「うん。もう少しで意識が飛ぶところだったよ」
いつも爽やかな顔をしてるのに、なかなか汗が引いていない。
よほど我慢していたのだと思う。私はスカートのポケットから、ハンカチを取り出して昴さんの額を拭いた。