悪魔と魔女
 ルシアンは顔を思い切りしかめ、食って掛かる。

「ええ。そうでしょうともね! 三日と空けず嫌がらせかと思うくらいの大量の手紙をばらばらばらばら。週一でお兄様かお姉様のどなたかがランダムで一人は現れる日々。町に行こうとするときは、なぜかタイミングよくフィリ兄様かアルバートさまが訪れるんですもの。これを偶然といわずになんというか。そう、必然です。必然。あらかじめ私がこの森を抜けるとわかるように魔術を掛けてるんですよね!? 森に!! まったく信じられないことだとは思いますが、そういうことでしょうとも! この間なんか手紙の返信を怠ってただけで熱を出してるんじゃないかとやってくる始末。私に自由はないんですか!」

 ほとんど息継ぎなしで急き立てた結果、肩で息をすることになったルシアンは相変わらず笑顔を崩さないアルバートに視線を送る。

 彼は小揺るぎもしなかった。

 そして。
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