悪魔と魔女
 半人前からようやく一人前になった魔女、あるいは魔術師にいい仕事はやってこない。いい仕事は経験豊富な魔女や魔術師が引き受けるからである。新米は仕事に毛が生えた程度の低賃金の雑用をこなして経験を積み、そうしているうちに時々大粒の仕事が舞い込んで、気がついたらそこそこ腕を上げていたということになるからである。そのためには一に仕事ニに仕事、三、四も仕事で五も仕事、寝る間も惜しんで即仕事という毎日を送らなければならず、多くの術師は実際そのようにして生活をしている。

 仕事を得るためにほとんどの魔女や魔術師は各町々にある協会に登録している。その協会から実力にあった仕事が割り振られるのである。しかし、協会は何百人といる術師一人ひとりを気にかけられるほど暇ではない。仕事は確かに協会から割り振られるのだが、有名な術師以外、直接仕事の依頼が来るということはないので、自分から協会に赴き仕事の手続きをしなければならない。

 仕事をこなしていかなければ経験も何も身につかない。
< 2 / 13 >

この作品をシェア

pagetop