悪魔と魔女
彼の視線には気づかないまま、詰問するようにルシアンは口を尖らせた。
ただ、彼はおどけたように肩をすくめて見せるだけ。
アルバート・ウォリックは自分が悪いとはちっとも思っていない。むしろ彼女のためにしたのだ、という意識があるので静かな彼女の怒りをその身に受けてもたじろぎもしない。
光に透けるほど明るい金髪に手を伸ばして、それを片手で梳きやる。一言でいえばキザったらしい行動だったが、彼がすると優雅という文字に置き換わるのだから不思議だった。
それがルシアンには歯痒いのである。
「さあ。いつだろうねぇ」
来ないかもね。
遠くを見るような視線でアルバートは右上を向いた。
前からルシアンにはわかっていたことだが、彼はルシアンに仕事をさせる気がこれっぽっちもない。しかもたちが悪いことに、彼だけではない。
「―――お兄様たちとお姉様たちがその件に加担して私の仕事を握りつぶしたことは知ってます。エドワードお兄様が、何ですって? どうせアルバートさま、あなたがお兄様に洩らしたんでしょう?」
すればアルバートは視線を戻し、にっこりと微笑んだ。
ただ、彼はおどけたように肩をすくめて見せるだけ。
アルバート・ウォリックは自分が悪いとはちっとも思っていない。むしろ彼女のためにしたのだ、という意識があるので静かな彼女の怒りをその身に受けてもたじろぎもしない。
光に透けるほど明るい金髪に手を伸ばして、それを片手で梳きやる。一言でいえばキザったらしい行動だったが、彼がすると優雅という文字に置き換わるのだから不思議だった。
それがルシアンには歯痒いのである。
「さあ。いつだろうねぇ」
来ないかもね。
遠くを見るような視線でアルバートは右上を向いた。
前からルシアンにはわかっていたことだが、彼はルシアンに仕事をさせる気がこれっぽっちもない。しかもたちが悪いことに、彼だけではない。
「―――お兄様たちとお姉様たちがその件に加担して私の仕事を握りつぶしたことは知ってます。エドワードお兄様が、何ですって? どうせアルバートさま、あなたがお兄様に洩らしたんでしょう?」
すればアルバートは視線を戻し、にっこりと微笑んだ。