悪魔と魔女
 まるでよくできました、と子供をほめるように。

 それがますますルシアンの神経を逆なでする。

「あの、ですね。アルバートさま」

「まあまあ。ルシアン。いいじゃないか。仕事は危険だし、君にもしものことがあったら大変だ。怪我などしては本当に一大事だからね。彼らのやり方については、僕だって少々不服なところがあるけれど、間違ったことはしていないと思うよ?」

 机の上に置かれているカップを持ち上げて、優雅に茶をいただいているアルバートを恨みがましく見れば、彼はそれでもどこかうれしそうに微笑を返す。

 まるで恋人でも見るように。

 放っておけば盛大に引きつる顔を必死で制御しながら、ルシアンは歪みそうになる唇をぐっとかみ締めた。

 この人に言っても無駄だわ。

 ルシアンは頭を抱えたくなった。
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