踊り手、なりませんか?
踊る舞を見て、アマリアとイーゴリ、そしてエマの目が見開かれる。舞の心はドクドクと音を立てた。全員の視線が突き刺さる。

「舞、お願い!踊って!」

「舞しかいない!」

「僕たち、大会に出たいんだ!!」

アマリアたちに頭を下げられ、舞は後ずさる。胸の中にはたくさんの感情が渦巻いていた。その中で最も大きな感情は喜びだ。しかしーーー。

「私、早苗ちゃんを裏切れない!」

そう言い、舞は教室を飛び出していく。その目から涙がこぼれ落ちた。



泣きながら舞は家へと戻り、そのまま部屋にこもった。そして数日、スティーブンたちを避けて学校を過ごした。

早苗の足を見た時、早苗が「踊り手をやめる」と泣きながら言った時、舞も苦しかった。だからこそ、自分もやめようと思ったのだ。その気持ちを裏切れない。

その日もスティーブンたちを避け、舞は足早に帰宅する。すると、スマホに電話がかかってきた。国際電話だ。
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