エリート御曹司が花嫁にご指名です
汐里はこわごわと、自分の左手の腕時計へ視線を落とす。話を早く切り上げたいのは見え見えだった。
「十時の会議まで時間がありません。そろそろ……」
「そんなものは待たせておけばいい。俺は今一番の大問題と向き合っているんだ」
今、大事なのは汐里との話し合いだ。会議よりも汐里だ。
「それほどの問題だとは思えません。他に秘書はいますから、選出されたら私が辞めるまでに仕事ができるようにします」
はあ? 汐里はなにを言っているんだ? 他の秘書が完璧にできるまで、どのくらいかかると思うんだ?
汐里のように打てば響く精到な秘書はいない。
「できるように? それだけでは務まらないことくらい、わかっているだろう? 俺が求めるものを、完璧にサポートしてもらわなければならないんだ。汐里のように」
言いきったところで、汐里の様子がおかしいことに気づいた。目を伏せ、額へ右手を置いた。
具合が悪いんじゃないのか?
そう尋ねようと口を開いたところで、汐里はすっくと立ち上がり、深々と頭を下げた。
「十時の会議まで時間がありません。そろそろ……」
「そんなものは待たせておけばいい。俺は今一番の大問題と向き合っているんだ」
今、大事なのは汐里との話し合いだ。会議よりも汐里だ。
「それほどの問題だとは思えません。他に秘書はいますから、選出されたら私が辞めるまでに仕事ができるようにします」
はあ? 汐里はなにを言っているんだ? 他の秘書が完璧にできるまで、どのくらいかかると思うんだ?
汐里のように打てば響く精到な秘書はいない。
「できるように? それだけでは務まらないことくらい、わかっているだろう? 俺が求めるものを、完璧にサポートしてもらわなければならないんだ。汐里のように」
言いきったところで、汐里の様子がおかしいことに気づいた。目を伏せ、額へ右手を置いた。
具合が悪いんじゃないのか?
そう尋ねようと口を開いたところで、汐里はすっくと立ち上がり、深々と頭を下げた。