エリート御曹司が花嫁にご指名です
「いったい、ど、どうしちゃったんですか?」

 その反応も可愛すぎるだろ。

 オフィスでは腕を露出させたのを見たことがない。スラリとした長い腕にそそられ、指を滑らせた。

 ずっと触れていたいくらい滑らかな腕だ。きっと汐里の全身すべてが柔肌……。

「俺と結婚してくれ」
「……本気で言っているんですか?」

 真摯に告げた俺に、汐里はまだ信じていない。

「戯言でプロポーズはしない」
「急にプロポーズされても困ります。私が昨日言ったからなんですね?」


『では、桜宮専務が赤ちゃんを授けてくれますか?』


 あのとき、汐里の切実な思いに胸を突かれた。彼女のためなら叶えてやりたい。

「昨夕の汐里の提案は魅力的だったな」
「私は本気じゃなかったんです。売り言葉に買い言葉的な……あ、きゃっ!」

 今日の汐里は手ごわい。いや、最近の彼女は決心をしてから、従順ではなくなった。そんな彼女も魅力的だ。

 俺は汐里をソファに押し倒し、見つめた。

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