エリート御曹司が花嫁にご指名です
「汐里、俺の嫁になれ。他の男には渡さない。汐里がこの先、俺のそばにいないのは嫌だ」
「専……務……」

 揺れる瞳。もう少しで頷くかと思いきや、彼女は下唇を噛んで首を横に振る。

「長い間、一緒にいたのでそう思うだけです。すぐに別の秘書に慣れるはずです」

 俺に必要なのは秘書じゃない。今は、はっきりそう思える。なぜこの長い時間を無駄にしてしまったのか。後悔しかない。

「もちろん、妊娠したら秘書はさせられないから、他の者で我慢しよう。君が家にいると思えばきっと我慢できる」
「今さら、口説くなんて……」
「なんとでも言え。君は子供が欲しい。俺は君を手放したくない。利害が一致するだろう?」

 俺は少しずつ距離を詰めていった。そしてもう一度熱く言う。

「俺の子供を産んでくれ」

 汐里の返事が待てずに、ピンクの唇を食むように唇を重ねた。

 彼女の反応は初心で、目を閉じ俺のキスにされるがままだった。抵抗されないことに、俺は汐里の唇を堪能する。

< 146 / 268 >

この作品をシェア

pagetop