エリート御曹司が花嫁にご指名です
 一度キスをしたら、やめられないくらい柔らかい感触に、のめり込みそうになった。

 しかし本当に彼女は初めてらしい。

「本当に経験なしか」
「……私なんかを相手にしても、つまらないですよ」

 顔を両手で覆った汐里。俺は我慢の限界だった。

「いや。今、最高に嬉しい気分だ。俺色に染まらせることができるのだから。楽しみだな」
 
 俺は汐里を抱き上げた。俗にいう、お姫さま抱っこだ。

「あ、あのっ」

 俺は有無を言わさず歩を進め、キングサイズのベッドに横たえた。ジャケットを脱ぎ、パサリと椅子に放る。

 汐里は落ち着かなげに視線を泳がせている。彼女の緊張が俺にも伝わってきた。

「け……決心が、まだ……」
「俺に任せておけ。決心してするもんでもない」

 金縛りにあったように動けないでいる汐里を見つめながら、指先はカフスを外す。

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