エリート御曹司が花嫁にご指名です
「さ、桜宮専務?」
「その恥じらいは、無意識に俺を煽っているんだぞ」
「あ、煽るっ……?」

 桜宮専務の唇が、私の唇を食べてしまいそうな勢いで塞がれる。今日初めて経験した彼のキスは、全身をとろけさせてしまいそうなくらい気持ちがいい。

「んっ、ふぅん……」

 桜宮専務の舌が口腔内を自由に動き回り、私は夢中で彼の舌に応えていく。

「ま、待ってください。桜宮専務、ああっ……」

 私の尖りを見せている頂を、ねっとり舐めていた彼が、不服そうに顔を上げた。

「桜宮専務? ここまで親密になって、それとはな。優成と呼ぶんだ」
「急には――あっ!」

 私はビクンと身体を跳ねさせた。

 桜宮専務の指が腹部を滑り、敏感なもうひとつの尖りに触れたのだ。

 そこから先は桜宮専務の唇や舌、指先からもたらされる熱に浮かされたような時間がやってきた。



 嵐のようなときが過ぎ、現実に引き戻されても、まだそれは台風の目に入っただけで、終わっていなかった。

 桜宮専務は時間を無駄にしない人だった。帰り支度を済ませた彼は父に電話をかけ、在宅を確認した。

< 152 / 268 >

この作品をシェア

pagetop