エリート御曹司が花嫁にご指名です
 にこにこした温かい笑顔で、私の手を握る。

「昨夜、優成から話を聞いたときは信じられなかったのよ。汐里さんがお嫁に来てくれるなんて、本当に嬉しくて。娘ができて最高の気分なのよ」

「今日はお招きありがとうございます。歓迎してくださり、とても嬉しいです」

 雇用主と秘書との関係が長かったせいで、娘のようにはすぐにはなれないだろうが、お義母さまとは馬が合うので、親子のように早く打ち解けられると思う。

 お義母さまは用意した手土産を持っていた優成さんから受け取ると、花束をじっくり鑑賞して、喜んでくれた。

「向日葵は大好きなのよ。見ていると、元気が出ますものね。しかもお父さんの大好物まで。本当に汐里さんは気が利いて素敵だわ」

 べた褒めされて、恥ずかしくて頬を赤らめる私に、優成さんは肩を抱き寄せてポンポンと叩く。

「すごい喜びようで、こっちが戸惑うよ。汐里、行こう」

 お義母さまは私たちから離れ、優成さんは玄関を入ったところにあるリビングへ案内してくれる。

 玄関を入ってすぐ右手には、ときどき優成さんを待たせてもらう応接室があった。私もそこには数えきれないくらい入ったことがある。

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