エリート御曹司が花嫁にご指名です
「じゃあ、きっと汐里さんが退職すると言ったから、自分に必要な人を見つめ直したんだわ」
「……そんなところでしょうか」
「とにかく、私は嬉しいのよ。専務なら汐里さんを幸せにしてくれるに違いないわ」
にっこり笑い、大きく頷いた三和子さんは、ようやくマシンのスイッチを押した。
アイスコーヒーを手に執務室へ戻ると、優成さんが出社しており、パソコンのモニター画面を注視していた。
「おはようございます」
婚約者になったけれど、秘書としていつものように接しようと心がけている。なので、エンゲージリングも外して、家に置いてきていた。
アイスコーヒーの入ったプラカップを、邪魔にならないように置いた。そこへ、モニター画面を見ていた優成さんの手が、私の手を掴んだ。
「おはよう。汐里、指輪は?」
黒い瞳が私を見つめる。
仕事をしていたのに、なんて目ざといのだろう。
「家に……」
「俺と婚約したはずだが?」
「そうですが、まだ会社には……」
優成さんの口元が不機嫌そうに歪む。そして、「これを見て」と、掴んだ手を自分のほうへ引き寄せる。
『これ』とはモニターのことで、私は視線を向けてから目を大きく見開いた。
私たちの婚約発表のメールだった。
「……そんなところでしょうか」
「とにかく、私は嬉しいのよ。専務なら汐里さんを幸せにしてくれるに違いないわ」
にっこり笑い、大きく頷いた三和子さんは、ようやくマシンのスイッチを押した。
アイスコーヒーを手に執務室へ戻ると、優成さんが出社しており、パソコンのモニター画面を注視していた。
「おはようございます」
婚約者になったけれど、秘書としていつものように接しようと心がけている。なので、エンゲージリングも外して、家に置いてきていた。
アイスコーヒーの入ったプラカップを、邪魔にならないように置いた。そこへ、モニター画面を見ていた優成さんの手が、私の手を掴んだ。
「おはよう。汐里、指輪は?」
黒い瞳が私を見つめる。
仕事をしていたのに、なんて目ざといのだろう。
「家に……」
「俺と婚約したはずだが?」
「そうですが、まだ会社には……」
優成さんの口元が不機嫌そうに歪む。そして、「これを見て」と、掴んだ手を自分のほうへ引き寄せる。
『これ』とはモニターのことで、私は視線を向けてから目を大きく見開いた。
私たちの婚約発表のメールだった。