エリート御曹司が花嫁にご指名です
 三人がけのソファに座る私の横に腰を据えた彼は、慣れた動作でシャンパンの栓を抜き、ふたつのグラスに注いでいく。

 シャンパンの入ったグラスを手にし、軽く合わせて乾杯をする。

 隣に座る優成さんは長い足を組み、ゆったりとグラスを口にした。

 最高級のヴィラには、最高のウエルカムシャンパンが用意されているようで、キリッと冷え、ほんのり甘さのある爽快感で喉越しがいい。

 この美しい景色も加味されて、リラックスしてくる。

「とても美味しいですね」
「そうだな。いいシャンパンだ」

 優成さんはグラスをテーブルに置き、座ったまま両手を上げて伸びをする。彼もオフィスと違って、ひと息つけている様子に見える。

「こんな素敵なヴィラがあるなんて、びっくりしました。個人の別荘にいるようですね。とても静かで」
「うちも参入しようか。宮古島に系列のホテルはあるが、富裕層にはこういったヴィラのほうが、人気がありそうだ」
「リサーチしてみましょうか?」

 そう言ってから、互いに顔を見合わせて笑う。

「ダメだな。仕事は忘れて休日を楽しもう」
「はい」

 シャンパンを飲んでいると、このヴィラの専用バトラーがやってきて、優成さんがオーダーしたフィンガーフードをテーブルに並べて去っていく。

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