エリート御曹司が花嫁にご指名です
「もう十三時過ぎだ。お腹が空いただろう?」
「美味しそうなクラブハウスサンドですね」
 
 フライドポテトやコールスローなどもあり、ボリュームもあるが美しく並べられていて、おしゃれなワンプレートになっている。

「食べよう」

 私はフライドポテトをつまんでから、クラブハウスサンドを頬張った。

 しばらく美しい景色やプールを眺めながら、他愛もない話をし、シャンパンが一本空いた頃、ふいにソファの背に身体を預けていた優成さんが、上体を私のほうへ向けた。

「汐里」

 優成さんは私の頬を撫でると、その手は肩へと滑らせる。

 バカンス用のノースリーブのマキシ丈ワンピースを着ており、機内の寒さ対策に薄手のカーディガンを羽織っていたけれど、旅客機から出たときに脱いでいた。

 そのむき出しの肩に触れられ、心臓がドクドク暴れ始めた。

 親密な空気感になるのは、ホテルのスイートルームで抱かれた以来。ずいぶん経ったように思えるけれど、六日前。

 小さく震えた私の身体を優成さんは引き寄せて、肩に唇を落とす。その食むような唇の動きに、ぶるりと全身が震えた。

「優――」
「汐里が欲しい」

 目線だけを上に向けて、優成さんははっきり口にした。オフィスとは違う色気がだだ漏れの優成さんに、私は催眠術がかかったかのようにコクッと頭を下げた。

 その瞬間、抱き上げられ、室内へ連れていかれる。

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