エリート御曹司が花嫁にご指名です
「ちゃんとつけているじゃないか」
 
 指はビキニのトップに触れた。

「も、もちろんつけてます」

 優成さんの手が背中に回り、ピクッと動きが止まる。

「エロいな。後ろのリボンが外れたらどうなる?」
「外れたことはないです」

 彼の手はリボンを離れて、背中を撫でる。身を微かに震わせている私のTシャツの裾を掴んだかと思ったら、スルッと脱がされた。

「この姿を誰かに見せた?」
「去年のバカンスで。当たり前じゃないですか。泳ぐための水着ですから」

 優成さんの視線が上から下に移り、恥ずかしくて身体が熱を持っていくようだ。

「まったく。よく今まで」

 優成さんはぼそっと口にし、そこまでは聞こえたけれど、後はなにを言ったかわからない。

「よく今まで……?」

 首を傾げて、優成さんに尋ねると、ため息をつかれてしまった。

「いや、なんでもない。泳ごうか」

 優成さんは私の手を握り、プールの手すりのほうへ歩を進めた。

「そういえば、泳げるのか?」

 ぬるい水の中に入ってから、優成さんに尋ねられる。

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