エリート御曹司が花嫁にご指名です
並ばずにすぐに入れる店にしようと決めて、社屋の隣の商業ビルの三階にある中華レストランに入った私たちは、海老チリの定食を頼む。
「一ヵ月経ったわね。仕事はどう?」
「まだまだです。今朝はありがとうございました!」
前に座る宮本さんは頭をペコッと下げる。
「私も最初の頃は、『まずい!』って言われて、何度も淹れ直しをしたわ」
「一条さんもそうだったんですか!?」
「そうよ。専務の好みを把握するまで時間がかかったの」
オーダーのときに持ってきてくれていた温かいジャスミンティーをひと口飲み、ホッと息をつく。
「プライベートでも専務って呼ばれているんですか? 興味があって」
「え? いいえ。下の名前を」
宮本さんの質問に、戸惑いながら答える私だ。
優成さんから、名前で呼ぶようにと言われたときのことを思い出した。
ペナルティ……最近は、『優成さん』と呼ぶのが身についたから、躊躇することなく出てくる。
「あ、一条さん。専務自らヘッドハンティングした西尾さんという女性が、客室訓練部の教官になるんです。以前はうちのCAで、今はシンガポールの航空会社で働いていたとか。ヘッドハンティングもするんですね」
「西尾……さん? ヘッドハンティング……」
初めて聞く内容に、私はキョトンと首を傾げる。
「一ヵ月経ったわね。仕事はどう?」
「まだまだです。今朝はありがとうございました!」
前に座る宮本さんは頭をペコッと下げる。
「私も最初の頃は、『まずい!』って言われて、何度も淹れ直しをしたわ」
「一条さんもそうだったんですか!?」
「そうよ。専務の好みを把握するまで時間がかかったの」
オーダーのときに持ってきてくれていた温かいジャスミンティーをひと口飲み、ホッと息をつく。
「プライベートでも専務って呼ばれているんですか? 興味があって」
「え? いいえ。下の名前を」
宮本さんの質問に、戸惑いながら答える私だ。
優成さんから、名前で呼ぶようにと言われたときのことを思い出した。
ペナルティ……最近は、『優成さん』と呼ぶのが身についたから、躊躇することなく出てくる。
「あ、一条さん。専務自らヘッドハンティングした西尾さんという女性が、客室訓練部の教官になるんです。以前はうちのCAで、今はシンガポールの航空会社で働いていたとか。ヘッドハンティングもするんですね」
「西尾……さん? ヘッドハンティング……」
初めて聞く内容に、私はキョトンと首を傾げる。