エリート御曹司が花嫁にご指名です
 堂島さんは、隣に立つ白いタイトなワンピースを着た女性に話しかける。

「ええ。美男美女で楽しみですね。申し遅れました。私は先生の助手をしています、岡田(おかだ)と申します」
 
 岡田さんはにこやかに自己紹介し、名刺を優成さんに渡している。

「では早速、花嫁さまの好みのラインなどを聞いていきますわね。ここにかけられているドレスを見ながら、探していきましょう」

 店舗は広く、純白から生成り、カラードレスまで、目移りしそうなほどかけられている。

 私と優成さんは並んでかけられたドレスに視線を向けながら、岡田さんの説明を受けていく。

 三十分ほどかけて店内のドレスを見て、ほぼ自分が着てみたいウエディングドレスのラインを頭に描けた。

「どうだ? イメージ沸いたか?」

 すべて見終わり、ソファに並んで座ると、優成さんはのんびりとした雰囲気をまとい、尋ねる。

「はい。マーメイドラインのシンプルなものに」

 テーブルの上に置かれたマーメイドラインのドレスの写真を、手で指し示す。

「ああ。汐里のイメージとピッタリ合う。俺もそういったデザインが似合うんじゃないかと思っていた」

 優成さんの考えと同じだったのが嬉しくて、私は微笑みを浮かべた。


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