エリート御曹司が花嫁にご指名です
「こんにちは……兄は?」
本当は、壮兄を探しに来たのではない。西尾 聖くんのことを聞きたかったのだ。でも、聞くのがためらわれた。
「医局にいるかと思いますが。確認してみましょうか?」
「い、いいえ。いいんです。知り合いが入院したみたいなので、ちょっと顔を」
「西尾 聖くんですか?」
私は驚いて目を見開いた。
「どうして西尾 聖くんだと?」
「一条先生が何度も病室を出入りしていたので。三一一号室ですよ。あ、ご両親がいらっしゃっています。ナースコールだわ。失礼しますね」
ご両親……? 西尾さんは結婚していたの?
「ありがとうございます」
看護師は忙しそうに、ナースセンターへ戻っていく。
優成さんがここへ来たのだろう、と勝手に思い込んでいた自分がバカらしくなった。
立ち去ろうとしたとき、廊下から「パパ、ありがとう!」という声が聞こえてきた。
可愛らしい子供の声に、角にあるナースセンターから顔を覗かせ、声のしたほうを見てみる。
車椅子に乗った幼稚園児くらいの男の子の横にしゃがみ込む男性に、一瞬、私は呼吸を忘れて注視した。
本当は、壮兄を探しに来たのではない。西尾 聖くんのことを聞きたかったのだ。でも、聞くのがためらわれた。
「医局にいるかと思いますが。確認してみましょうか?」
「い、いいえ。いいんです。知り合いが入院したみたいなので、ちょっと顔を」
「西尾 聖くんですか?」
私は驚いて目を見開いた。
「どうして西尾 聖くんだと?」
「一条先生が何度も病室を出入りしていたので。三一一号室ですよ。あ、ご両親がいらっしゃっています。ナースコールだわ。失礼しますね」
ご両親……? 西尾さんは結婚していたの?
「ありがとうございます」
看護師は忙しそうに、ナースセンターへ戻っていく。
優成さんがここへ来たのだろう、と勝手に思い込んでいた自分がバカらしくなった。
立ち去ろうとしたとき、廊下から「パパ、ありがとう!」という声が聞こえてきた。
可愛らしい子供の声に、角にあるナースセンターから顔を覗かせ、声のしたほうを見てみる。
車椅子に乗った幼稚園児くらいの男の子の横にしゃがみ込む男性に、一瞬、私は呼吸を忘れて注視した。