エリート御曹司が花嫁にご指名です
 疲れきっていたせいで、眠りに落ちたけれど、夢ばかりを見ていて目が覚めたとき、頭はスッキリしていなかった。

 優成さんがなにか話している夢だった。けれど、なにを言っているのかわからなくて、私は必死に聞こうとしていた。

 覚えているのはそれだけだった。逃げ出してしまった罪悪感からくる夢だったのだろう。

「もう九時過ぎ……」

 十二時間眠っていたようだ。たっぷり眠った割には身体が重いが、いつもは六時に起床するのが身についているから、なんとなく後ろめたい。

 私はベッドからのろのろと出て、黄緑色の生地に花柄をちりばめたクラシカルなカーテンを開けた。

 日差しが降り注ぎ、今日のお天気はよさそうだった。
 
 グレーのセーターにデニム、ダスティピンクのジャケットを手にして、一階のレストランへ下りた。
 
 シアトル到着前の軽食を食べた以降、なにも口にしていないので、たくさん食べられそうだ。

 通りを見られる窓際の席に案内される。

 ブレックファーストメニューを頼み、頬杖をついて外を眺める。シアトルへは二回目だ。三年前の華さんの結婚式以来。


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