エリート御曹司が花嫁にご指名です
　華さんはビタミンカラーの黄色のワンピースを着ており、若々しく、いつもながらエレガントだ。

　エンジニアとしてシモンズの飛行機工場で働いていたときは、作業服も着て男性に交じって仕事をして華さんだ。

「汐里、大丈夫なの？　どうしてどこへ行くとも知らせずにいなくなったの？　兄さんが探しているわ」
　
　華さんは部屋の中へ進み、二脚ある椅子には座らずにベッドの端に腰を下ろし、私にもそうさせる。
　
　そして私の両手を握って、黒曜石のような黒い瞳でまっすぐ見つめてくる。

「どうやって……私を見つけたんですか？」
「シモンズの力なら、なんだってできるわよ。兄さんも総力を挙げて、汐里の居場所を見つけたわ。私よりは若干遅かったけれどね」

　優成さんも私の居所を見つけたの？

　私は優成さんを思い出して切なくなった。

　会いたい……。

「汐里？」
「……考える時間が欲しかったんです」
「マリッジブルーはよくあるわ。私だって、自分の人生をハワードに預けてもいいの？って思ったもの。でも、なにも言わずに出てくるのはいけないわ。兄さんは仕事どころじゃないわよ」

　華さんは大きなため息をこぼす。

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