エリート御曹司が花嫁にご指名です
 私たちが車を降りると、玄関前で小さな女の子が年配の女性に抱っこされながら、歓喜の声を上げていた。

 その女性は子供の子守りだと、華さんが教えてくれる。

「ママ!」

 華さんのほうに手を大きく広げて、抱っこをせがんでいる女の子は薄いブラウンの髪で、光に当たると金髪に見える。

 クルクルした髪が可愛くて、まるで天使のように愛らしい。
 
 華さんは愛娘リサちゃんを抱きと止める。リサちゃんはニコニコと私に笑う。
 
 リサちゃんの笑みに、今まで鬱々としていた心が、晴れていくようだった。

「リー、汐里お姉ちゃんよ」

 二歳になったばかりのリサちゃんは人見知りもせずに、私を見てペコッと頭を下げる。

「なんて可愛いの! リサちゃん、よろしくね」

 私は目じりを下げて、リサちゃんの小さな手と握手をした。

 リサちゃんを見ていると、切実に子供が欲しいと思ってしまう。

 数秒、間が空いて、華さんから「なにを考えているの? 暗い顔になっちゃったわね。中へ入りましょう」と、家の中へ入るように促された。


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