エリート御曹司が花嫁にご指名です
私の驚きに関せず、桜宮専務はパソコンのスイッチを入れ、手元の書類を手にする。
専務秘書になって以来、ふたりで食事をすることも多々あったけれど、それはあくまでも仕事の関係だ。
今まで誕生日に食事に連れていってもらったことはない。
「どうした? ぼんやりして。誰かと約束している?」
「いえ、あの――」
「予約も俺がしておくから。ここを十二時に出る。そのつもりでいてくれ」
私は間の抜けた「は……あ……」としか返事ができなかった。
自分のデスクへ向かう最中も、頭の中で〝?〟マークが増えていく。
どうして誘ってくれたのかわからない。
そこへデスクの上の電話が鳴り、ハッとして意識を仕事に集中させる。秘書室からで、桜宮専務宛の電話を取り次ぐと、仕事を始めた。
桜宮専務が連れてきてくれたのは、会社から車で十分ほどのところにある高級レストランだった。
白と黒を基調としたシックなインテリアに高い天井。窓からは停泊しているさまざまな大きさのクルーザーが臨める。
真夏の今の時期、その景色を見ているだけで涼しげだ。
専務秘書になって以来、ふたりで食事をすることも多々あったけれど、それはあくまでも仕事の関係だ。
今まで誕生日に食事に連れていってもらったことはない。
「どうした? ぼんやりして。誰かと約束している?」
「いえ、あの――」
「予約も俺がしておくから。ここを十二時に出る。そのつもりでいてくれ」
私は間の抜けた「は……あ……」としか返事ができなかった。
自分のデスクへ向かう最中も、頭の中で〝?〟マークが増えていく。
どうして誘ってくれたのかわからない。
そこへデスクの上の電話が鳴り、ハッとして意識を仕事に集中させる。秘書室からで、桜宮専務宛の電話を取り次ぐと、仕事を始めた。
桜宮専務が連れてきてくれたのは、会社から車で十分ほどのところにある高級レストランだった。
白と黒を基調としたシックなインテリアに高い天井。窓からは停泊しているさまざまな大きさのクルーザーが臨める。
真夏の今の時期、その景色を見ているだけで涼しげだ。