エリート御曹司が花嫁にご指名です
 会話は仕事のことではなく、主に双方の兄弟の話。

「華さんから、誕生日カードを送っていただきました」

 心のこもったカードとクッキー、そしてラグジュアリーなバッグが昨日届いた。

 カードしか言わなかったのは、誕生日プレゼントをねだっているように思われたくなかったからだ。

「君たちは仲がよかったからな」
「はい。優しいお姉さんです」

 華さんが日本を離れたのは、彼女が十八歳のとき。アメリカの有名大学の機械工学科へ入学し、首席で卒業後、シアトルにあるシモンズ社へ入社した。

 華さんは女性ながらに飛行機開発のエンジニアだった。
 
 十二月に誕生日が来る、現在三十三歳の華さんは、五年前にシモンズ社の御曹司ハワード・シモンズ氏と結婚して、女の子を産んでいる。
 
 年に数回日本へ戻るときには、必ず会っている関係だった。
 
 メインディッシュは、マデラ酒を使ったソースの柔らかい牛肉。とても柔らかくコクのあるソースに舌鼓を打つ。桜宮専務も気に入った様子だった。
 
 ペロリと平らげ、三種のアイスとジェラートの盛り合わせが運ばれてくる。私の好きなチョコミントアイスがあったので、笑みを深めながら堪能した。
 
 
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