エリート御曹司が花嫁にご指名です
そして食事が終わったのは十三時三十分。いつものランチ休憩よりも時間がかかってしまったけれど、上司がいるから気にせずにいられる。でも桜宮専務はこの後会議がある。
私は腕時計へ視線を落とした。あと三十分で会議が始まる時間だった。
もうこうしてふたりで食事をすることはなくなる。そう考えて、私の胸がズキッと痛みを覚える。
退職したら、彼と会えなくなるのだ。
「……桜宮専務、今日はお祝いをしてくださり、ありがとうございました。ごちそうさまでした。とても美味しかったです。素敵なレストランですね」
「雰囲気もいいし、美味しかったな。また来よう」
桜宮専務が席を立ち、この時間が名残惜しかった私も椅子から離れた。
また来よう……は、ふた通りに解釈できる。ひとつは次回も私と。もうひとつは誰かを誘って。
前者ではないだろう。もう思いを吹っ切らなければ。
私はようやく退職願を出す決心をした。
私は腕時計へ視線を落とした。あと三十分で会議が始まる時間だった。
もうこうしてふたりで食事をすることはなくなる。そう考えて、私の胸がズキッと痛みを覚える。
退職したら、彼と会えなくなるのだ。
「……桜宮専務、今日はお祝いをしてくださり、ありがとうございました。ごちそうさまでした。とても美味しかったです。素敵なレストランですね」
「雰囲気もいいし、美味しかったな。また来よう」
桜宮専務が席を立ち、この時間が名残惜しかった私も椅子から離れた。
また来よう……は、ふた通りに解釈できる。ひとつは次回も私と。もうひとつは誰かを誘って。
前者ではないだろう。もう思いを吹っ切らなければ。
私はようやく退職願を出す決心をした。