俺と、甘いキスを。

すっかりぼやけた視界を頼りに、私は部屋を出た。
「……くっ」
静かにドアを閉めて廊下に立った直後、待ちかねたように涙がポロポロと溢れ出す。

──右京さん、右京さん、右京さん。


たった数分間の両思いは、あまりにも残酷だ。

私は様子を見に来た柏原さんに発見されるまで、その場で崩れ落ち、泣き続けた。




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